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【将棋×AI】最強の将棋AIソフトにプロの棋士は勝てない?仕組みや歴史について解説

コンピューター将棋が1975年に誕生して、早40年以上がたちました。
AIはプロの棋士には遠く及ばぬ存在として、どれだけAIが強くなっても勝つことはないと言われている時代もありました。

そして、今ではプロの棋士ですら太刀打ちできずに、負け越すという時代がやってきました。
今回は、そんな将棋AIソフトの進化の歴史や、2020年において最強の将棋ソフトなどについて詳しく解説していきます。

2020年 最強の将棋AIソフト やねうら王

やねうら王

現在、最強と言われている将棋AIソフトは、やねうら王だと言われています。
第29回の世界コンピュータ将棋選手権でも優勝し、最強にふさわしい実績を持っています。
多くの方が、やねうら王に挑んだものの、2枚落ちでも全く歯が立たないという人もいます。
※2枚落ちとは飛車と角がない状態で対局を始めること。

最強と呼ばれる、将棋AIソフトのやねうら王ですが、プロの棋士と対局をしたらどうなるのでしょうか?
実は、既にプロの棋士と言えども、AIには勝てないと言われています。
その理由は決して予測や推測ではなく、過去に行われた電王戦で証明されていました。

人間VSコンピュータ 電王戦の存在

将棋AIソフトが登場した当時は、アマチュアの級位者レベルでしたが、断端と棋力アップしていき、2010年代にはプロのトップ棋士にも通用するどころか、勝ってしまうのではないかと言われるようになりました。
そこで、AIと人間のどちらの方が、将棋が強いのかを決めるべく、電王戦が開催されました。
果たして、本当に強いのは人間なのか?それとも、何億と手数を読むAIソフトなのか?
誰もが、対局の結果にドキドキしたものです。

第一回目の電王戦は1対1の対局

人間 AIソフト 結果
第1局 米長邦雄 ボンクラーズ AIソフト

第一回目は米長邦雄とボンクラーズとというAIソフトによる対局でした。
これが電王戦の始まりで、将棋連盟の会長である米永邦雄の敗北という結果となりました。
また、ニコニコ動画のドワンゴ社の共催による電王戦ですが、プロとコンピュータを戦わせるとは何事かと、非難も相当多かったようでした。
生命の冒涜ならぬ、文化の冒涜と言われていたのでしょうね。

第二回電王戦は5対5の団体戦

第2回将棋電王戦 人間 AIソフト 結果
第1局 阿部光瑠 四段 習甦 人間
第2局 佐藤慎一 四段 ponanza AIソフト
第3局 船江恒平 五段 ツツカナ AIソフト
第4局 塚田泰明 九段 Puella α 引き分け
第5局 三浦弘行 八段 GPS将棋 AIソフト

そして、会長の宣言により第二回の電王戦の開催も決まっていました。
しかも、現役のプロ棋士を5名選抜し、当時のAIソフトの上位5本との団体戦となりました。
結果は将棋AIソフト側が3勝/1負/1分という快挙を果たしたのです。
はじめて、公式の対局でプロがAIに負けた対局となりました。

もちろん、将棋ファンからのバッシングは相当ありました。
特に将棋という文化には、高齢者のファンが多く、コンピュータとかAIとかよくわからないものに、応援している棋士達が負けたのですからショックだったでしょう。
将棋はいずれAIによって全て解析されて、楽しくなくなるから辞めたという人もいたほどです。

第3回電王戦も5対5の団体戦でほぼAIの勝利

第3回将棋電王戦 人間 AIソフト 結果
第1局 菅井竜也 五段 習甦 AIソフト
第2局 佐藤紳哉 六段 やねうら王 AIソフト
第3局 豊島将之 七段 YSS 人間
第4局 森下卓 九段 ツツカナ AIソフト
第5局 屋敷伸之 九段 ponanza AIソフト

定年通り行われた第3回目となる電王戦の結果はこのようになりました。
AIが4勝1敗と勝ち越しを決め、前回よりも大きな棋力向上が見られました。

唯一、1勝ちを守ることができた豊島将之。
プロ側の明らかな敗北という悔しい結果に終わったのです。

電王戦FINAL 最後の人間とAIとの団体戦

電王戦FINAL 人間 AIソフト 結果
第1局 斎藤慎太郎 五段 Apery 人間
第2局 永瀬拓矢 六段 Selene 人間
第3局 稲葉陽 七段 やねうら王 AIソフト
第4局 村山慈明 七段 ponanza AIソフト
第5局 阿久津主税 八段 AWAKE 人間

FINALと題された電王戦は、開始前から不穏な雲行きでした。
それもそのはず、第3回電王戦では将棋AIソフトの4勝1敗という結果で幕を引き、プロですらAIにはもう敵わないと認知され始めていました
そして、今回で間違いなくその力の差がハッキリと出るのではないかと思われていたのです。

出場棋士はもちろん、そんなことを証明するために出場するのではありません。
これまでの経験と知識を持って、勝ちに行くために将棋を指すのです。

そして、電王戦FINALの結果はAI側の2勝3敗となり、棋士の勝利で幕を閉じました。
勝ち越しはしたものの、業界への意見は何とも言えないものでした。
もちろん、人間がAIに勝利したという称賛も多かったのですが、対局内容を指摘する人も多かったのです。

面白いのは第二局で、AIが予測できない「2七角不成」という手が勝ちをつかみました。
飛車、角、歩が不成ということは通常の対局ではまずあり得ません。
AI側もあり得ない手として、手数を探索しないように設定されていたのです。
その裏を突いた一手により、人間側の1勝を得ることができました。もちろん、角成りでも勝ち筋が十分にあるということで話題になりました。

問題なのは、第5局目です。
ハメ手を利用し、AIに悪手を無理矢理出させるような方法が使われたのがバッシングの対象となりましたね。
そして、AIソフトの開発者がその手を出された時に参りましたと敗北宣言を放ちます。
開発者が自分のミスを認め負けを認めたのか、プロにそのような手を指してほしくなかったから負けを認めたのかはわかりません。

電王戦 第1期が開催!叡王優勝者が代表して対局

第1期電王戦 人間 AIソフト 結果
第1局 山崎隆之 叡王 ponanza AIソフト
第2局 山崎隆之 叡王 ponanza AIソフト

電王戦FINALかと思いきや、第一期という形で電王戦が開催された。
叡王戦の優勝者と2番勝負を行うという内容となっている。
結果は人間側の2敗で、将棋AIソフトの勝ち越しで終わった。

電王戦第二期

第2期電王戦 人間 AIソフト 結果
第1局 佐藤天彦 叡王 ponanza AIソフト
第2局 佐藤天彦 叡王 ponanza AIソフト

2017年に行われた電王戦は、以前同様に叡王戦の優勝者との対局でした。
今回の叡王戦には、羽生善治も参加していたものの準決勝で佐藤天彦に敗れ、代表となった佐藤天彦が、AIソフトと対局することとりました。

結果は、佐藤天彦の2敗で終了。
関係者の意見によると、かの羽生さんが出場していても勝てなかっただろうと予測しています。
そして、この対局を最後に電王戦は終了宣言がなされました。

これで、2020年現在まで公式での人間とAIソフトは行われなくなりました。
将棋界、特にファンに対して深い爪痕を残して終了となった訳です。

将棋AIソフトは羽生さん曰く、F1カー並みの強さになる

F1レースカーとの対局になる?

将棋のAIソフトはさらに強く、正確になっています。
例えるなら、F1カーと人間がレースをするようなもので、AIとの対局において、勝ち負けは最早意味がないということなのでしょう。

F1カーに50m走を挑んでも仕方はありませんが、将棋の場合は少し話が違います。
懸念として残っている問題が、プロの手合いでAIソフトが活用される可能性があるのではないかという問題です。
陸上競技のオリンピックにF1カーで参戦することはできませんが、将棋においては機械やスマホの持ち込みにより実現してしまいます。
そんな未来を見越したかのように、プロの対局において電子機器の利用が禁止されるようになりました。

プロの手合いで将棋AIソフトが使用された事件?

以前に、対局で将棋AIソフトを利用したということで、三浦弘行が出場停止処分などを受けたことがあります。
これは、三浦弘行と対局した者が何度も長時間の離席があったとし、また指す手がコンピュータに近いようなものだったので疑ったことから始まりました。
しかも、トッププレイヤーの意見だったので周りは一気に信じ込みました。

結果は不正利用していないということになりました。
名誉毀損など弁護士を通じた問題に発展するなど、かなり大変だったようです。
でも、今後はそういったことが起きる可能性は十分に考えられます。

 

将棋AIソフトだけの世界選手権の存在

以前から行われていた、世界コンピュータ将棋選手権は開催されておる、2020年で第30回を迎えました。
コンピュータ通しの対局というのは、違った目線で楽しむことが出来ますし、新しい局面が生まれる可能性があるので、多くの方が注目しています。

ちなみに、2019年 第29回の結果はこのようになっています。

順位 ソフト名
1位 やねうら王
2位 Kristallweizen
3位 狸王

 

将棋AIソフトを使った新たな戦法が誕生しつつある

将棋AIによって新たな戦法が生まれる

さて、電王戦が終了と今では一方受かった研究方法が当たり前となっています。
それが、将棋AIソフトを使った、最善手の研究です。
面白いことに、これまでに悪手とされていた手が再研究されたり、既に対策された手筋が生まれ変わったりという変化が起きています。
もちろん、好手とされていた手も、実は長い目で見ると悪手だったなんてケースもあるそうです。

その結果、若い棋士でほど効率よく吸収し、より強くなるのではないかとさえ言われていますので、今後はさらに強くて若い棋士が誕生するはずです。
そして、男性だけでなく女流棋士もより強くなり、夢の女性のプロ入りも実現するのではないでしょうか?

ここからは、AIソフトにより生まれた戦法や戦型の変化いついてご紹介して行きます。

将棋AIソフトによって生まれたエルモ囲い

エルモ囲い

エルモ囲いという囲いが近年話題になっています。
実は、elmoと呼ばれるAIソフトがよく指すことから、上図の形をエルモ囲いと呼ぶようになりました。
追求すればするほど、理にかなった形となっており、プロ・アマチュア問わず注目されている囲いになります。

将棋のAIソフトは居飛車を指す

いろは
いろは
AIソフトは居飛車を好んで指します

2020年現在、居飛車党の時代とされています。
その理由の一つが、AIソフトが居飛車しか指さないからという意見が出ています。
コンピュータ側の形勢判断でも、振り飛車の方が評価値が低いと出ます。
攻めを得意とするAIですから、1手かけて飛車を振るという手は、評価として厳しいようです。
その結果、振り飛車党から居飛車党になる棋士がプロ・アマチュア問わず増えているのも事実です。

振り飛車を指す将棋AIソフトも存在します

振り飛車を指すAIソフト

とは言え、全てのAIが居飛車な訳ではありません。
振り飛車を応援すべく、振り飛車を指すように作られたAIソフトも存在しており、振り飛車党から大きな注目を浴びています。
肝心の勝率は高くなく、今後の成長に期待といった所ではありますが、振り飛車の新たな可能性をAIが見つけ出してくれるのかも知れません。

ハニーワッフルというソフトは振り飛車を指すことでも有名です。

 

研究に使うことで、将棋業界全体のレベルアップにつながる

将棋AIソフトに対して、抵抗感を持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、プロ・アマチュア問わず、棋力アップに繋がるのではないかと思います。
人間とAIが戦うのではなく、互いに協力することで新たな結果を生み出すのではないかと思います。

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