将棋とチェス、似たようなルールを持ちながらも似て非なるボードゲームです。
そして誰もが、将棋とチェスを比較した場合、どちらが優れているんだろうと考えたことはないでしょうか?
今回はどちらの方が、良いボードゲームなのか徹底的に比較したいと思います。
これからどちらかを始めたいという人の参考になれば幸いです。
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- 1 将棋とチェスの比較について
- 2 将棋とチェスの比較① 歴史
- 3 将棋とチェスの比較② ルールの違いについて
- 4 盤の広さが違う
- 5 取った駒が使える 持ち駒ルールの違い
- 6 平均終了手数の比較
- 7 成るの違いについて
- 8 引き分けというルールについて
- 9 将棋とチェスの比較③ プレイ人口
- 10 世界で見るとプレイ人口は逆転する
- 11 将棋とチェスの比較④ 賞金について
- 12 将棋とチェスの比較⑤ 戦略性の違いについて
- 13 持ち駒のないチェスは戦力性は乏しい?
- 14 終盤の違いについて
- 15 戦型や戦法の違いについて
- 16 攻撃と守備の点での違い
- 17 将棋とチェスの違い⑥ 初心者にオススメできるのは?
- 18 おすすめの関連記事を読む
将棋とチェスの比較について
あくまでも似たようなルールであって、どちらが優れているのかというのはナンセンスな考えという意見もあるでしょうが、どちらかを初めてみたいという人には比較は必要ではないかと思いました。
今回は、下記のような観点からなるべく新しい情報を用いて、将棋とチェスの比較を行っていきます。
こんな情報を比較しました
- 歴史
- ルールの違い
- 世界的プレイ人口
- 国内での人口
- 賞金
- 戦略性
- はじめるならどっち?
将棋サイトではありますが、将棋には偏りすぎない客観的な意見でまとめています。
将棋とチェスの比較① 歴史
将棋の歴史は平安時代に遡り、駒の形も今と同じような5角形をしていました。
しかし、この時には持ち駒のルールはなく、現代と限りなく近いルールになったのは15~6世紀と言われています。
対するチェスも現代のルールに近くなったのが15世紀末と言われており、この時に発のガイドブックが発刊されました。
どちらも数百年以上、楽しまれているボードゲームであり、未だに多くの人が楽しめるゲームだと言えます。
これから長く遊ぶという観点で見れば、どちらも差がないと言えます。
将棋とチェスの比較② ルールの違いについて
将棋とチェスは当然ながらルールや仕組みに違いがあります。
比較される所以として、相手の王(キング)を詰みにすれば勝利で、先手番/後手番を決めて交互に1手ずつ進めていくのが基本であり、どちらかのルールを理解していれば、似たような考えで攻めることもできます。
それでは、実際にどのような違いがあるのかをご紹介していきます。
ここではルールや仕様の違いについて触れるだけであって、戦略性は後述の章で詳しく介します。
盤の広さが違う
盤面の広さの違い
- 将棋は9×9マス=81マス
- チェスは8×8マス=64マス
チェスの方がやや狭くなっていますね。
盤面が広いということは、それだけ打ち込める場所が多くなり複雑になるとも考えられます。
とは言え、複雑性=面白いは成り立ちません。と言うのも、チェスと将棋では駒の動きが似ているようで違うため、盤面の広さだけでは測り切れないものがあります。
もしも、将棋盤が2倍の広さならさらに楽しいのか?
将棋盤がもしも縦横18マスだった場合、駒の動かし先は何倍も増える訳ですが果たして、元の将棋より楽しいと言えるでしょうか?
また、動き先が増えたとしても最善手とされる手は将棋もチェスも限られています。
可能性が増えるということは、勝利の糸口が増えるというよりは落とし穴が増えるイメージで相手のミスで勝敗が決まるようなゲームになってしまわないでしょうか?
将棋もチェスも人生をかけるだけの深みがある
将棋にもチェスにも言えるのが、人生をかけて楽しむだけの深みがあるのは間違いありません。
戦略性の多い方で選ぶというよりも、自分が楽しいと思った方をプレイするで問題ないと思います。
取った駒が使える 持ち駒ルールの違い
将棋/取った駒を持ち駒として、自分の番であれば好きなように使える
チェス/取った駒は盤上外に置き、持ち駒として使うことはできない。
将棋とチェスの比較ポイントとしてよく指摘されるのが、持ち駒ルールの違いです。
将棋の場合は相手の駒を取れば、好きなように使うことができます。
取った駒を再利用できることがゲーム性を複雑かつ急展開を生みやすくすると言われています。それゆえ、駒の取り合いが発生してから中盤と言いますからね。
よく言われるのは、持ち駒があるからこそ奥深い戦略となり、チェスより面白いところだと言われています。
確かに魅力的なルールに見える将棋の持ち駒ですが、実は、持ち駒の役割を理解すると、チェスも劣っていないと考えられます。
将棋においての持ち駒の魅力は、どんな場所にも駒を置けることです。
持ち駒により、相手の駒を攻め立てたり、寄せを狙っていきます。もちろん、守りにも使えますね。
将棋は大駒以外は大抵1マスずつしか動けません。だからこそ、持ち駒化することで手数を省略し、攻めたり守ることができます。
では、チェスの場合はどうでしょうか?
持ち駒はありませんが、将棋よりも大きく動ける大駒が多いことに注目してください。
初期の陣形からでも相手の駒を狙うことができますし、様々な場所から駒への紐づけ(取られたら取り返せる状態)を作ることができます。
動ける範囲の少なさを持ち駒でカバーできる将棋。
最初から大きく動けるチェス。
また、持ち駒がないことで切り合いのような攻めができるのもチェスの魅力なのだと思います。
必ずしも、持ち駒ルールがあるから将棋の方が勝っているとは言えません。
平均終了手数の比較
盤面の広さ、持ち駒ルールについて触れたところで知っておきたいのが、一局の手数の差です。
持ち駒もない、盤面も狭いチェスの方は一瞬で決着がつくかと思いきや結果はこの通りです。
将棋/約110手
チェス/約80手(40ムーヴ)
将棋と比べると複雑ではないように見えるのに、両者の手数は意外と近いです。
複雑さでは将棋に軍配が上がると思いますが、チェスが複雑ではないのか?と言うとそうではないことがわかります。
成るの違いについて
将棋は相手の陣地に駒が入ると成ることができます。駒を裏返して、これまでにない動きが可能となります。
チェスにも成るという概念があって、将棋で言う歩、つまりポーンのみ成ることができます。
条件が若干厳しく、相手の陣地の一番奥に到達した時のみ成ることができ、成った際は、クイーン、ビショップ、ナイトなど好きな駒になることができます。
将棋とチェスの背景にある文化の違いが見えてくるように思えます。
日本が誇る将棋は丁寧という印象があって、1手1手、丁寧に相手との駆け引きを行い、成り駒を作っていきます。そこから、一気に終盤戦という和のリズムのようなものを感じます。
対するチェスは、序盤から殴り合いというかいがみ合いというか、突発性のある緊張感が印象的だなと思います。なんとなく、イメージできないでしょうか?
とは言え、将棋も最近の攻め方としては、守りを固めすぎず急戦を仕掛けていくのが強いように思えます。特に若い世代は攻めが早いと言われています。
引き分けというルールについて
チェスの説明で欠かせないのが、引き分けが多いということです。
先手番・後手番の勝率をざっくりと計算するとこのようになります。
チェスの勝敗の割合
- 先手番の勝率 40%
- 後手番の勝率 30%
- 引き分け 30%
引き分けになるためにはいくつかのルールがあるのですが、ここでは割愛します。
ちなみに、初心者同士で対局した場合は、引き分けになることはほとんどありません。状況を見て、引き分けに持ち込むことができれば、それは上級者の方々です。
ちなみに将棋の場合はこの通りです。
将棋の勝敗の割合
- 先手番の勝率 55%
- 後手番の勝率 45%
やや先手番有利と言える状況です。
引き分けがあることは悪いことのように言われますが、後手番が先手番に負けない確率を考えた時、60%もあると言えます。
将棋のように1局で決着がつくのではなく、野球のように表裏の攻めと守りがあると考えると、後手番にも先手番以上のチャンスがあると言えませんか?
なので、ルールや仕様の差によってチェスと将棋の楽しさの比較は、意外とできないものなんです。
それぞれのルールは、お互いの競技において必要だからあると言えます。
将棋とチェスの比較③ プレイ人口
続いて、将棋とチェスのプレイ人口を比較していきます。
この項目では2つの考え方を持つ必要があり、国内でのプレイ人口と世界でのプレイ人口を見ていきたいと思います。
国内のプレイ人口の比較
- 将棋/620万人
- チェス/2万人
将棋の国内人口は620万人に対し、チェスは2万人と公表されています。(1年に1回以上遊んだ人を計測)
集計方法には多少違いはあるし、誤差も大いに考えられますが国内での人口は雲泥の差。まさに月とスッポンです。ただ、チェスはもうちょっと多いと思います。
世界で見るとプレイ人口は逆転する
先ほどの数値は国内での数値でしたが、チェスの場合は世界中で人気のゲームです。
逆に将棋は、日本国内でのみ人気と言える状況ですから、世界を対象としてプレイ人口を見ると違います。
世界のプレイ人口の比較
- 将棋/1000万人以下※国内の620万人も含む
- チェス/7億人以上
世界というスケールで見た途端、チェスの人口は桁違いになります。国によっては義務教育でチェスが取り入れられてるくらいですから、人口はとても多いです。
チェスは世界180国以上で愛されるのに対し、将棋のプレイ人口はほぼ日本のみなので、当然の差とも言えます。
ただし、将棋もここ数年において海外への将棋盤や駒の輸出が増えていることをご存知でしょうか?
近隣諸国を中心に、日本の文化として将棋が広まっているんです。
インターネットによる情報交換がしやすくなった現代、将棋の良さが以前よりも広く伝わるようになったんです。
また、日本お得意の漫画やアニメによる知名度貢献も今後期待でき、日本だけの競技から、世界の競技へと成長していく可能性もあります。以前に爆発的に人気になったヒカルの碁のような将棋漫画が出てきたら、国内だけでなく世界で火がつく!なんてこともあり得ますよ。
逆に、チェスが国内でさらにポピュラーなボードゲームとして広まる可能性も十分にある訳です。
将棋とチェスの比較④ 賞金について
国内では人口からわかる通り、圧倒的に将棋の方が賞金が出ます。
とは言っても、国内のプロでの棋戦の話ですから、ここではアマチュアが獲得できるであろう賞金を中心に比較していきたいと思います。
将棋のアマチュアの主な賞金
- アマ将棋最強戦 20万円
- アマ竜王戦 50万円
チェスのアマチュアの主な賞金
- 中部快速オープン 4万円
- 全日本チェス選手権 5万円
国内で参加できる大会の優勝賞金として例を出しましたが、賞金の大きさでは圧倒的に将棋に軍配が上がります。
とは言え、人口620万人の中での1位と2万人の中での1位では難易度も異なります。
将棋とチェスの比較⑤ 戦略性の違いについて
ここからは、将棋とチェスの戦略性の違いについてご紹介していきます。
ルールの違いは冒頭にも触れましたが、それ以外にもルール差はあります。
例えば将棋でいう歩とチェスのポーンは前に1マスずつしか進めません。
しかし、ポーンは目の前の相手の駒を取ることができません。将棋だけのルールを知っている人からすると驚きですよね。
つまり、自軍と敵軍のポーンが向かい合った時、どちらも動くことができません。
逆に、左右斜め前に駒があると、左右の前に進んで相手の駒を取ることができます。
さらに、初期位置にいる場合のみ2マス進めることができるといったルールがあります。
その他にも将棋でいう桂馬は、前方向の2か所にしか進めませんが、チェスのナイトは桂馬の動きが全方向にできるという動きが可能です。ですから、桂頭の歩はききません。
持ち駒のないチェスは戦力性は乏しい?
将棋とチェスを比較した際に必ず話題に上がるのが、持ち駒があるかないかの議題です。
相手の取った駒を自由に使えるという将棋の戦略性を無限大にするルールであり、逆にチェスは取った駒は対局内で使うことはできません。
このことから、様々な場所に展開できる将棋は戦略性が高いと言われる訳ですが、必ずしも持ち駒の有無だけで、チェスが圧倒的に戦略性がないとは言えないのです。
そもそも、将棋の持ち駒は足の遅い駒のサポートや強襲に使われます。将棋から持ち駒をなくしたら、恐らく駒損を作ってしまった段階でどうしようもない差が開きます。被害を増やさないためにダメージを負ってでも駒を逃がすことになります。
対するチェスは、持ち駒がなくても一つ一つの駒の動きが大きいため、持ち駒がなくても1手で他駒のサポートに回れたり、攻めに参加できます。
また、持ち駒があることにより選択できる局面や可能性は圧倒的に多くなると言われますが、数が多くても勝つための手というのはある程度限られます。
どんなところに指せるからといっても、指せる場所は限られている訳です。故に持ち駒があるからといって、チェスは戦略性がないとはならないのです。
悪手がある以上、とある局面 で将棋は100通りの指し方があり、チェスでは20通りしかなかったとしても、実際に好手となるのはどちらもわずかでしょう。
終盤の違いについて
将棋とチェスの違いは恐らく終盤で最もでると思います。
どちらも終盤にさしかかるにつれて、盤上の駒がなくなっていきます。
将棋の場合は、玉と反対側にある駒は活躍しなくなるので、見た目以上に使える駒というのは少ないのですが(玉がいない駒を使うことが少ないため)、終盤も持ち駒を使えるので、多くの駒が動きます。
チェスの場合は、取った駒は使えないので終盤は盤面が寂しくなります。逆に言うと、一つ一つの駒が活き活きと動かせるようになります。
なんとなく終盤の違いはイメージできると思いますが、ゲーム性で見るとどうでしょうか?
将棋は終盤に向かうにつれて指す手が増えやすいと言われています。
対する、チェスは駒を動かせる選択肢が減っていくんです。
どちらの方がゲームとして複雑なのかと言われれば、一目瞭然ですね。
ただし、冒頭でも説明した通り、複雑=ゲームとして面白いでは決してないと思います。
どちらも、駆け引きを楽しめるボードゲームであることは間違いありません。
戦型や戦法の違いについて
将棋で言う、居飛車や振り飛車。囲いである居飛車囲い、矢倉囲いといった組み方があるように、チェスにもルイロペス、シシリアンディフェンスと言ったように戦法や防御方法に名前があります。
戦略で言うと、将棋の方がより細かい手数まで定跡化されているように思います。駒の動きが遅いのも理由と言えます。
国内でも戦法ごとに書籍化されていたりと、国内の方が学ぶという点でも勝っているでしょう。
攻撃と守備の点での違い
将棋の場合、大抵の局面で攻撃地点と防御地点がはっきりと分かれます。
盤面が広いとは言え、全体を使って戦うことはそれほど多くありません。
逆にチェスの場合は、攻防一体とイメージしてください。
盤面が狭く、駒の動きが激しいため、守りにも直ぐに駆け付け、攻めにもすぐに加勢できます。
将棋は点と点、チェスは線と線
チェスと将棋の戦略性の違いを簡単に例えるなら、将棋は点と点を繋ぐ戦略です。
チェスは線と線を繋ぐような戦略です。
将棋とチェスの違い⑥ 初心者にオススメできるのは?
これまでに話したことも含め、初心者が始めるとしたらどういった部分に注目すれば良いのかご紹介したいと思います。
将棋の場合
国内でのプレイ人口が多く、道場や教室なども多く存在する
アプリでのオンライン対局が可能
戦法や戦略ごとの本が多く出版されており、独学にも向いている
チェスの場合
国内でのプレイヤーは少ないが、世界的には多い。これまではデメリットと言える部分だったが、ネットの普及により将棋以上の情報を扱えるようになった。
サイトを通じて全世界の人と対局が可能。人口が多い分、初心者も多く、どのレベル帯でも楽しめる。
日本語の本は将棋に比べると圧倒的に少ない。
これまでは、チェスの方がやや不利ではあったものの、現在は新規で始めるには全く問題ないと思います。
どちらも競技としては洗練されたものですから、自分が好きだと思える方から始めてみてください。
将棋もチェスもCPUと対戦できるアプリが数多く出ているので、インストールして実際に触れてみてはいかがでしょうか?