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プロ棋士編入試験とは?棋士編入試験の受験資格から条件、過去に合格した棋士について解説

プロ棋士になるためには奨励会に入り、三段リーグで上位2位になることが一般的ですが、その他の手段として棋士編入試験という制度が採用されています。

今回はプロ編入試験改め棋士編入試験制度について詳しく解説していきます。

棋士編入試験とはどのような制度なのか?

棋士編入試験とはどのような制度なのか?

棋士編入試験とは2014年からはじまった、アマチュアがプロ棋士になることができる新しい制度になります。2019年から棋士編入試験と改められ、それ以前はプロ編入試験という名称でした。

従来、プロ棋士になるには奨励会員となり、そこで三段まで昇段した後、三段のみで行われる三段リーグで勝ち残る必要がありました。

しかし、棋士編入試験は奨励会員以外のアマチュア棋士もプロを目指せるような仕組みを作るために立てられた制度なのです。

奨励会の三段リーグとは違った道でのプロ棋士

奨励会の三段リーグとは違った道でのプロ棋士

棋士編入試験をお話しする前に、簡単に奨励会の三段リーグについて解説しておきます。
奨励会とはプロ棋士養成所であり、奨励会員には6級から3段のアマチュア棋士が在籍しています。

毎年2回、半年に分けて三段リーグが開催されるのですが、三段リーグの上位2名、そして過去に三段リーグで3位を二回取ったものは四段に上がり、プロ棋士と認定されます。

勝てばすぐにでもプロ棋士になれるのですが、奨励会には原則26歳までという年齢制限が設けられており、プロに匹敵する実力があったとしても年齢制限により退会を余儀なくされることがありました。

年齢制限を超えてもプロ棋士を目指せる

年齢制限を超えてもプロ棋士を目指せる

奨励会員でなくとも強いアマチュアは大勢います。また、惜しくも年齢制限によってプロ棋士の夢を断たれた者も多いです。
そこで作られた制度がプロ棋士編入試験であり、高い実力を持ってさえいれば新たにフリークラスのプロ棋士としての編入を認められます。

実際、奨励会を退会した元奨が棋士編入試験を受けて、プロ棋士になったというパターンもあります。

プロ棋士編入試験の条件

ここからは、棋士編入試験の条件について解説していきます。
一体、どのようなアマチュアや女流棋士が編入試験の受験資格を得られ、どのような試験を合格するとプロ棋士になれるのでしょうか?

ポーンちゃん
ポーンちゃん
棋士編入試験の条件を見てみましょう。

規定の棋戦で一定の勝ち数を上げる

一つ目の条件は、プロ棋士が出場する棋戦にて、一定の勝ち数やトーナメント出場を果たすことです。

具体的には以下の2通りが条件となります。

棋士編入試験を受ける条件

  1. 最も良いところから見て10勝以上、かつその間の勝率が6割5分以上の成績を収めること
  2. 各棋戦のいずれか1つにおいて所定の成績を収めること

各棋戦の成績条件

竜王戦

ランキング戦優勝

王位戦

挑戦者決定リーグ入り

王座戦

挑戦者決定トーナメントでベスト8

棋王戦

挑戦者決定トーナメントでベスト8

棋聖戦

決勝トーナメントでベスト8

朝日杯

本戦トーナメントでベスト4

銀河戦

決勝トーナメントでベスト4

NHK杯

本戦トーナメントでベスト4

新人王戦

優勝

まずは、この条件のどちらかを満たさなければ、棋士編入試験の受験資格は手に入りません。
要は、プロ棋士相手に一定の勝率がないと受験資格すらもらえないということです。

四段以上の正会員に推薦状を貰う

また、同時に達成しないといけない条件が四段以上からの推薦状です。
こちらは、先ほどご紹介した棋戦での勝ち数条件を満たすレベルであれば、自然とプロ棋士の耳に入るので誰かしらから推薦状はいただけそうです。

どこまでいってもプロ棋士の世界は勝負の世界ということです。

試験官と5回対局し、その内3勝する

試験官と5回対局し、その内3勝する

棋士編入試験の受験資格を手にしたら、最もプロ入りの若い5名を試験官として、計5回の対局を行います。
試験官との対局で3勝すれば、3勝の時点でプロ棋士への編入が認められます。
逆に3敗してしまえば、その時点で棋士編入試験は不合格となります。

プロ入りが若いといっても、三段リーグを勝ちぬいたレベルのプロ棋士が相手になります。受験費用50万円も相まって、受験資格があっても気軽には受けられません。

過去にプロ棋士編入試験を受けた人

それでは、棋士編入試験を実際に受けた人達と結果についてもご紹介していきます。

今泉健司

結果

合格 3勝1敗

プロ入り

2014年

折田翔吾

結果

合格 3勝1敗

プロ入り

2019年

里見香奈

結果

不合格 0勝3敗

プロ入り

2022年

小山怜央

結果

合格 3勝1敗

プロ入り

2022年

奨励会経験なしの小山怜央が合格

奨励会経験なしの小山怜央が合格

振り返ると棋士編入試験の受験条件が厳しいため、受験者自体が少ないです。
その少ない受験者の中で最も話題となったのが、小山怜央です。

なんと、小山怜央は奨励会経験なしというアマチュアで、実力1本でプロ棋士になることができました。その他の合格者は元奨励会員であることから、小山怜央がどれほど異例の合格であったかがわわかると思います。

今後も注目したい棋士の一人であり、別記事でも特殊にてご紹介する予定です。

プロ棋士編入試験に合格した者はフリークラス所属になる

プロ棋士編入試験に合格した者はフリークラス所属になる

棋士編入試験に合格すると、フリークラスの四段棋士として編入されます。
通常であればc級2組ですが、少し扱い方が異なるのでここでご紹介します。

将棋のフリークラスとは

棋士の世界には順位戦と呼ばれる名人を争う棋戦があるのですが、フリークラスの場合、順位戦に出ることができないというデメリットがあります。
また、編入や降格によってフリークラスになった場合は60歳を超えるか、10年以内にc級2組にならないと権利を剥奪されてしまいます。
ですから、棋士編入試験でプロ入り後も安泰ではありません。

今後も有力なプロ棋士の誕生に期待しよう

里見香奈が初の女流棋士としての編入試験を受けました。また、小山怜央が奨励会の経験なしでプロになるなど面白いことが多く起こります。

新しい棋士の誕生に期待できる棋士編入試験についてでした。

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